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ふたりのS君 


 「人には親切丁寧にしよう」なんて小学生の標語のようだが、「自分が損だから、得だから」なんて最初から考えないで行動したいものです。
中学生の頃くらいから実践したいと思い、今もそのような思いではいますが、別に「善い人でしょう?」なんて事を言いたいんじゃなく、僕にはモデルにした人がいたのです。


それは小学校3年生の頃ですが、その前に、この頃の僕は大変な問題児でクラスどころか学校で数人の大問題児のひとりでした。今思うと自分はあの頃なんであんなだったのか自分でも解りません。
僕ひとりいるおかげで、一年を通してクラスはまったく授業にならず、僕はと言えば授業中は教室の後ろに置いてあるストーブの空箱の中に一日中閉じこもり、先生に無理に箱のフタを開けられると中から飛び出して暴れ出し、怒って家に帰るか教室を出てどこかに行ってしまう有り様。(・・・・書いていて思い出しましたが、僕があまりに授業中脱走するので、1階だった僕のクラスの教室が2学期から2階に変わってました。)

また、工作の時間が好きな僕は、工作のある日は算数だろうが国語の時間だろうが、一日中ひとりだけ勝手に工作の時間。自分の机だけで工作スペースが無くなると、隣の女の子に「お前邪魔だから、休んでいるヤツの机にでも行け!」とおっぱらう。
まったくもって当時の大人からしたら理解不能な生徒でした。

で、僕と同じクラスのもうひとりの問題児がS君でした。S君は男なのに男とは遊ばず、女言葉を使い女の子とゴム跳びをしているのですが、すぐにスカートめくりに変貌し毎日毎日女の子をワンワン泣かせている困った子でした。

そのS君と僕は、同じクラスの中で毎日のように別々にどこかで問題を起こしていますが、二人でつるんで何かやるなんて事はありませんでした。

そんなある日の道徳の時間の議題は「藤原君とS君について」でした。
先生が黒板に「藤原君について」と書いている光景を今でも鮮明に覚えています。

クラスのみんながここぞとばかりに「藤原君に○○された」とか「S君は昨日○○でした」とチクリ合戦の中、僕とS君は立たされたまま知らん顔してました。


前置きが長くなりましたが、百恵ちゃんのレコードが欲しくなった僕は、ある日の学校の帰り際S君に「綱島に白井レコードというのがあると聞いたけど知ってる?」と聞いた事がありました。そしたらS君、「明日教えてあげるね。」と言って帰っていきました。

で、次の日。S君はなんと、詳細見取図と説明文と道順の矢印まで書き込んで封筒にまで入れた手紙を僕にくれたのです。
別にわかりにくい店ではないのです。駅前のレコード屋です。
「バス降りて、すぐ駅の前だよ!」で済む話です。

ところがS君は、駅前の詳細見取図を書いた手紙をひろげ、僕に「ここでバスを降りたら・・いや、バスは混んでいる時はもっと先で止まるかもしれないから、そしたら後ろに戻って・・・」と一生懸命説明してくれたのです。

僕とS君はクラスでは同じような問題児ですが、普段は一緒に遊ぶなんて事もないし、僕もたまたま話の流れでレコード屋さんの事をS君に聞いただけなのです。

僕はその時に甚く感激して「僕もこれからは同じように他人に説明してあげよう」と思ったのです。


 もうひとりのS君は中学3年の時。そのS君は、中三の初めに隣町の中学から転校してきた、見るからに柄の悪いヘビー級の番長で、隣町の中学も悪すぎて追い出されたのかもしれません。

で、そのS君。同級生の他の誰もが怖くて近づけない中、僕の友達がそのS君と小学生の時一緒だった縁で僕とも話すようになりました。中学は自転車通学なんてダメですが、そこは番長、ハンドルを絞ったママチャリで悠々と通学してました。

そんなある時、僕の友達が「実は、藤原は身体が弱くて大変なんだよ」とS君に言うと、S君「そうか、じゃあ俺が毎朝自転車で藤原迎えに行ってやる」と僕の家まで自転車で迎えに来るようになったのです。

僕の実家は自転車じゃとても登れない坂の上。迎えに来るにしても「坂の下まで降りてて。」でもいい訳だし、「お前も自転車で来いよ」でもいい訳です。
僕が「坂が大変だよ」と言っても、「いいよ、いいよ」と、S君は毎朝毎朝、自転車を押して坂の上の僕の家まで迎えにきてくれました。
そして、歩くと25分はある登校コースを、僕はS君の自転車の後ろに乗って登校したのでした。


 
このふたりのS君。学校では超問題児(人の事言えませんが)。先生も同級生も大人達も当時は善く言う人なんて誰一人いなかったかもしれませんが、僕にとっては「人は何が大切か?」を10代のうちに感じ、考える事の出来た貴重な出会いだったと思っています。

ありがとう! S君。

 

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